明日へと向かう旅

初期研修を終了し、JapanHeartという団体のもとで、カンボジアで医療支援を行います。日々の生活や印象に残ったことを書きとめていきます。

先日、日本に一時帰国をしました。

「ブログの更新が少ない!」「カンボジアのことが全然わかんない!」と、ご指摘を受けましたので、ちょくちょくカンボジアのことも紹介していこうと思います。

 

カンボジアでは雨季がおわり、天気のいい日が続いています。

最近は半袖は少し肌寒いような気温で、夜は毛布にくるまって寝ています。

 

さて、最近壊れていた顕微鏡が治りました。電圧が違うために光源が壊れてしまっていたのですが、カンボジア人スタッフが配線等を修理し、変圧器もつけて直してくれました。

顕微鏡は主に、Gram染色検査に使います。Gram染色とは、膿や痰などを染色してどんな細菌がいるのかを探す検査です。これによって、どんな菌がいるかわかれば、その菌をやっつけるために最適な抗菌薬を使うことができます。

 

日本では、膿や痰などを培養検査に出せば、検査室でどんな菌がいてどんな薬が効くかを調べてもらえます。もちろんカンボジアでも培養検査をすることができますが、プノンペンの大きな検査センターに検体を持って行かなければなりません。そしてなかなかお金がかかります。

私たちの病院では基本的に無料で診察を行なっていますが、このような外の施設に依頼するようなものは、患者さんに払ってもらっています。貧しい方がおおくやってくるなか、培養検査のハードルは高く、大体どんな菌がいるかのあたりをつけて抗菌薬を処方することが多いです。

(研修病院では、必ず培養を出してから抗菌薬を処方するようにと教えられたので、心苦しいです。)

 

このような背景もあって、おそらくカンボジアの他の病院でも培養検査を出さずに抗菌薬を処方している病院が多いと思います。あまり無闇に抗菌薬を出すと、その抗菌薬に耐性をもった菌が出現するため、次の治療の時には抗菌薬が効かなくなるという問題が起きます。(こういう状況なので、カンボジアでは耐性菌が多いと聞いたことがあります。)

 

限られた資源で治療を行なっていかなければなりませんし、耐性菌も増やしたくないので、Gram染色はとても有用です。

僕は意外とGram染色が好きだったりします。感染した場所、膿の匂い、何で傷が付いたのかなどなど推理して、Gram染色検査でどんな菌がいるのか探すのは面白いです。(さすがに舐めてみたりはしません)

 

また日本では稀な熱帯医学がこちらでは比較的commonで、よく経験できることは、ここで医療活動を行うことの魅力の一つです。

デング熱、腸チフス結核、肝膿瘍などなど) 

 

いつかこの病院に細菌検査室を作りたいと病院長が言っていました。実現する日が楽しみです。

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顕微鏡を覗いているのが私です

 

自分の健康に気をつけながら、頑張っていこうと思います。

 

 

森田