一年を振り返って part2
おつかれさまです
途上国で医療活動をして一年、自分が成長したと感じることや変わったことを考えてみました。
・英語で論文を読むようになった
普段診療していてわからないことや病気に出会った時に、日本であれば、医学書を買ったり、病院の図書館へ行ったり、専門の先生に質問したりできたのですが、こちらではなかなか難しいです。また、カンボジア人ドクターから質問を受けた際に、日本語の医学書を見せてここに書いてあると見せてもあまり意味がないし、伝わらないです。幸いインターネットがあれば、論文を検索して最新の情報が手に入ります。そしてカンボジア人ドクターにも情報を共有することができます。今は気になったことがあれば論文を検索し調べる習慣がつきました。これは世界中のどこに行ったとしても役に立つのかなと思います。
・自分が何かを企画してやるようになった
勉強会や心肺停止患者に対してのシミュレーション学習など、今までは受講する側でしたが、現在は自分で開催するようになりました。しかも英語でやるので僕にとってはとても難しい、、、。でも開催することで、自分の理解も深まりますし、シミュレーション学習は本番の時に自分が英語で指示を出せるための練習にもなります。また、新人ドクターがだんだん教えたことができるようになっていく姿を見るのは楽しいです。
・医療の面から経済というものを考えるようになった
経済がしっかりしていないとしっかりした医療が提供できないなと感じます。医療はとてもお金がかかるということです。医療設備はもちろんですし、学生から医者一人を育てるのに物凄い額のお金がかかるというのもあります。また医療の発展には研究や新薬の開発など、お金がないとできないことが多いです。そして途上国では患者さんもお金がなければ医療を受けることが難しいです。たぶん、国の医療制度を整えることについても、お金がかかるのでしょう。日本では基本的には国民皆保険で医療は平等であったので、あまりお金のことを考えたことがありませんでしたが、それも経済によって支えられていることが大きいと感じました。患者さんが「お金がないからできない」という場面も多く、難しいなと感じることが多いです。
・より患者の生活の状況を考えるようになった
日本にいるときは患者さんが誰であっても保険診療で、高度な治療を受けられます。むしろ、「できるのにしなかった治療」や、「やるべき検査をやらない」ことがあると、訴訟になってしまうことすらあり、いつもMAXの医療を提供するのが普通だと思います。
この患者さんの家はどれくらい遠くて、経済的にはどれくらいで、家族は誰がいて、この患者さんの予後はどれくらいで、、、この薬はどれくらい効果があるのか、、、毎週のフォローはちょっと負担が多すぎないか、、、これ以上治療を続けることに意味はあるのか、患者やその家族の生活を苦しめるだけではないか、、、などなど。
薬や治療だけでなく、家での生活に気をつけて欲しいことがあっても、例えば受食事に気をつけましょうと言っても市場で手に入るものは限られているし、宗教上の理由で食べる時間が決まっていたりすることもあります。
つまり、患者さんの経済状況や生活と相談しながら治療をカスタマイズしていく必要があるということを学びました。
将来、日本の医療が保険でまかないきれなくなった時、高度な医療はお金持ちしか受けられなくなるかもしれません。もしかしたら、将来の日本の医療も、誰もが平等に治療を受けられるのではなく、人によって受けられる医療が変わるのかもしれないと考えることもあります。
他にもあるとは思いますけど、とりあえずこれくらいにしようと思います。
またぼちぼちブログを描こうと思います。
医師としてもそうですが、人間的にも成長したと思いますし、医療や世界への考え方が大きく変わった一年になったと思います。
今後は自分から病院やカンボジアに良い影響が与えられるように頑張りたいと思います。