明日へと向かう旅

初期研修を終了し、JapanHeartという団体のもとで、カンボジアで医療支援を行います。日々の生活や印象に残ったことを書きとめていきます。

今日の出来事

お疲れ様です。

 

今日はon call です。

今日あった出来事。

 

夕方、腹痛とげろげろしている患者さんが家族に連れられてきました。

けっこう痛そうでした。

 

問診と診察して、この腹痛はおかしいなと思いました。

エコーを当てて、これは家に帰れないと思いました。

レントゲンをとって、これは手術が必要だときめました。

 

よくよく患者さんの話を聞くと、以前に大きな病院で、ガンと診断されていました。

CTもとられていて、生検もされていて、家族がCTも持ってきていました。

 

専門じゃない僕でもわかりました。これは完治は望めないだろうと。

 

どうしたものか。。。

上司の先生にも相談しました。

 

結局、現状を家族に伝えました。(カンボジアでは本人にガンのことは伝えないことも多いそうです)

 

このままだと死ぬかもしれない。手術した方が良い。

ただ手術したとしても、長くはないかもしれない。

とにかく、他の手術ができる病院へ行った方がよい。

 

よくよく状況を聞くと、きているのは兄弟と甥っ子で、どうやら本人は独り身のようでした。

家族は言いました。お金がないから、大きい病院へはいけない。

他の兄弟と相談させて。と。

 

兄弟が後から病院にきました。話し合ったようでうです。

どうやら兄弟たちは患者を家に連れて帰ることに決めたようです。

 

なんだか振り出しに戻ったような感じです。

ここに来て、少しづつできることが増えてきて、患者さんをフォローしたりするようになって、手術にも入ったリして、患者さんを入院させたり退院させたりして。

 

結局、何もできないんだなって突きつけられたような感覚です。

 

誰が患者を見ても、同じ結末だったのでしょうか。

患者にとってベストだったのでしょうか。家族にとって、ベストだったのでしょうか。

手術をすれば、今の状況はよくなっても、数ヶ月後にはなくなっているかもしれない。

それでも患者さんはそっちの方がよかったのかな。

それでもオペしても、ガンのせいでお腹がうまく動かなくて、気持ち悪かったり、苦しい思いや痛い思いがあって、もっと続くかもしれない。

お金もないんだもんね、お金ないって、こうなっちゃうんだね。

ここでは、無料だけど医療機器は不十分でオペできる人がいつでもはいないから、今はオペはできない。なんとか点滴で治療してつないで、オペができる人が来るのをまつか。。。でもその間になくなってしまうかも。そうしたら本当に家に帰れないかも。

 

 

いろんなことを考えました。

正解はわかりませんでした。進んでみないと、どうなるかはわからないでしょう。

正しかったのかわかりません。でも、家族の選択を精一杯応援して、患者が無事にお家に帰っていくのを祈るしかありません。お家でどうなっていくのかはわかりません。

 

 

まさかお家に帰るという結論になるとは。。。思いもしなかったな。

 

ここではできることは少ないんです。

それに加えて、僕ができることも少ないんです。

 

もっとできることを増やしたい。

僕がなにかできるようになることで、患者さんの人生が変わるかもしれない。

 

変わりたいです。強くなりたいです。