明日へと向かう旅

初期研修を終了し、JapanHeartという団体のもとで、カンボジアで医療支援を行います。日々の生活や印象に残ったことを書きとめていきます。

発展途上

最近、ここでインターンしている学生に、「先生の頭の中ってほんとお花畑だよね」って言われました森田です。

 

 

ここ2日間、当日外来で来た患者さんを入院させて治療するも、当日のうちに状態が悪化し、大きな病院へ救急搬送するということが2日連続でありました。

悪くなるかもなーと思ってはいたものの、その次を考えることが遅く、自分の見通しの甘さや手札の少なさを痛感します。今日はその初めての救急搬送の感想。

 

大きな病院までは救急車でも40分〜1時間程度かかります。交通状況によってはもっとかかることもあります。(救急車はサイレン鳴らしてるけど周りの人あんまり道を開けてくれない)何か起きてしまった時に対応できるよう、自分も救急車に乗って大きな病院に搬送します。救急車内に自分の病院のモニターを持ち込み、もしもの時のための薬剤や物品を持ち込み、救急車に備え付けのめちゃめちゃ古そうな酸素ボンベと酸素マスクをつなげ、ヒヤヒヤしながら搬送です。(救急隊員はドライバーのみ)

大きな病院に到着してもすぐには医療者が来てくれず、外で待たされることもあります。酸素が必要な患者なのに、酸素なしで待たされてしまいます。ようやく中へ入れたと思ったら、そこは人・人・人の海。患者や家族でごった返し、そこら中からうめき声があがっていました。そんな状況の中、片手で数えられる程度の人数の医療者が、慣れた様子で淡々と患者に対応している様子が対照的でした。

 

 

カンボジアで一番大きな病院のはずなのに、患者を受ける場所も、人も、設備も全く足りていない、そんな印象をうけました。同時に、自分が以前働いていた病院の救急対応のシステムや迅速な対応をする医療者の素晴らしさを改めて実感しました。本当にすごい。

ただ、カンボジアはまだまだ発展途上です。カンボジアにはpublicな大きな病院が4つしかありません。そこに患者が集中しパンクすることは当然のことでしょう。

 そのほかの分野もまだまだです。循環器の領域だって、心筋梗塞が疑われる症例が来たって、近くでカテーテルの治療ができる病院など一つもない。消化器の内視鏡や呼吸器の気管支鏡も数少ない大きな病院でしかできない。緊急の内視鏡なんてできるの?緊急帝王切開や状態が悪い新生児の対応は?日々の透析すら大きな病院に行かないとできない、でも家が遠い、なんてことはザラです。

 でもだからこそ今後のカンボジアが楽しみです。これからいくらでも改善の余地があり、どのようにでも発展していけると思います。色々な国の医療体制の良いところをたくさん真似して、いい医療がカンボジア人に提供されるようになったらいいな。そして何らかの形で僕も貢献したいです。

 

 

 自分の病院へ救急車で送って向かっている中でそんなことを考えていると、急に救急車が停まって、隊員がピザ屋でピザをテイクアウトしてました。(それありなの?)そういえば僕もお昼食べてなかったな。時計を見るともう夕方の時間。急にお腹が空いてきましたが、同時に「今日も頑張ったな〜」って充実感に満たされました。救急搬送中は大雨だったけど、いつの間にか雨はあがってるし、救急車の窓から広大な大地と綺麗な空が広がってるし、なんだか未来は明るいな〜。

 

以上、お花畑森田でした。

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うどん山からの景色