明日へと向かう旅

初期研修を終了し、JapanHeartという団体のもとで、カンボジアで医療支援を行います。日々の生活や印象に残ったことを書きとめていきます。

選ぶ時に大事なこと

5月13日

 

こちらの生活にも慣れてきました。夜はカヤをして寝ているのですが、なぜか次の日には痒いところが増えていきます。

今僕は寮に住んでいますが、寮といっても近くの人の大きい家を借りて住んでいるような感じです。男子寮は家の中で夜はコウモリが飛んでるし、今日なんて、急に『ぼとっ』と弱ったコウモリが落ちてきて、床を這いつくばっていました。そっと箒で家の外へだしてあげました。

今、日本人用の新しい寮(長期スタッフ用)が建てられて、絶賛引っ越し期間中です。快適になりますね。

 

今日は、ある通訳の子(カンボジア人)と話をしていて思ったこと。

彼女はとっても明るくて元気で一生懸命です。患者さんの話を一生懸命聞いて、僕からの話も一生懸命伝えてくれます。時には話しにくいことも、でも彼女がいなきゃ伝えられません。日本語もとっても勉強していて、いつも感心します。

 

今日は、善意でクメール語カンボジア語)講座を開いてくれました。カンボジアの人にとって、仕事後も職場に残って何かしてくれるということは、珍しいことです。(普通のカンボジアの職場では、時間になったらさっと帰ってしまうことが多いそうです)そういうことも快く開催してくれます。いつも笑顔です。本当にうれしいです。

 

その後も彼女と少し話をしていました。

実は彼女は、6月でここをやめて、プノンペンで働こうと思っていたようです。その理由は、ここで働くよりもお金がもらえて、日本人とも働けて、条件がいいから。そこで働くために、ここで通訳をして働きながら、日本語検定の勉強をして、ついに目標のレベルに受かって、6月以降にプノンペンに行く予定でした。

 でもね、辞表を出す時、とっても辛かったんだって。辞表を出したら、いろんな人が悲しい顔をして、もっと辛かったんだって。そして考えたそうです。

彼女が出した答えは「ここに残る」でした。

プノンペンに行ったら給料もよくなるけど、きっとそこでの仕事は楽しくない。ここでの仕事は楽しくて、ここが好きなんだ。」って。

 

 ここは病院ですが、寄付で運営されています。患者さんにも無償で医療を提供しています。病院の運営のためにはカンボジア人も必要で、もちろん給料が支払われています。でも他の病院よりも給料が悪かったり、休みの日に手術ミッションがあって忙しかったり、条件は良くないと思います。それでも、ここで働いてくれる人がいて、その子たちに理由を聞くと、「ここが好きだから」って言います。

 どうしてここが好きなんでしょうね。今度聞いてみなきゃ。

 

 でも「好き」って本当に凄い。「好き」って他の言葉でなかなか表現できないけど、とっても強い力です。

 人は何かを選ぶ時に、条件を考えてしまうことが多いと思います。仕事でも、買い物でも。結婚相手にまで条件を設定したりして。でもね、条件なんて上には上が絶対にあるし、例えば選択肢を比べる時だって、一方にはいいとこもあれば、もう一方には違ういいとこがある。条件で考えるから選ぶのが難しくなる。条件で選んだらこんな活動なんて選ばない。条件で選んだらここで働いている素晴らしい人たちに出会うこともできなかった。

 条件よりも、「好き」とか「感動」とか「自分がどうなりたいか」とか「どうしてもなんとかしたい」とか、そういう気持ちがきっと自分を強く動かすんだと思います。自分の気持ちに正直に、正直に。

 

 そしてここはそうやって条件じゃなくて、好きな気持ちや信念に共感して集まってきた人たちだから、みんな一緒の方向を向いているし、みんな一生懸命。結束力の強い組織だなって感じます。こういうチームって強いなって思います。

 

 今日考えたことは、

『迷った時は、条件で選ばない』

『自分の気持ちを大切にする』

 

長くなりましたが今日はこの辺で。

明日からはオペミッション期間です。明日の手術は8件!頑張ります!

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