忘れたくない言葉たち - 明日へと向かう旅

研修病院での思い出深い言葉たちを忘れないように書いていこうと思います。

1．医療は手段の一つであり、患者の生活や社会背景が大切

これは研修医になって、実際に本番に出るようになってから、これが一番大事なんだなと思えるようになりました。病気に対しての治療が１対１の対応ではなく、患者によっては「治療しない」という選択肢もありうるということ。広い視点をもって患者と向き合わなければ、治療が医師の一人よがりな自己満足になってしまい、患者に害を与えうる、という怖い怖い怖い現実問題。いいこよやってるつもりが悪いことをしてしまう。

本当に気をつけないといけないし、ここまで考えて、患者と一緒に考えて、患者が満足するような治療ができたときは、何にも変えられない満足感が帰ってきます。患者さんの嬉しそうな姿が、自分へのご褒美です。

2．危険な疾患を除外することだけが救急の仕事ではない

これは救急ローテ中に上級医に教えられた言葉です。自分が胸痛できた患者に対して、心臓のことばかり考えて診療しており、その際に教えられた言葉です。もちろん、除外すべき疾患は除外しなければなりませんが、「一度、全ての疾患を想起する必要がある」と怒られました。VINDICATE等で考えるようにしなければいけないということと思います。「危ない疾患を除外するだけしても、患者は納得しない」。患者さんにとっては、危なくないのはわかったけど、じゃあこれは何の病気？？ってなるってことですよね。ある意味これも、医師が心配なことだけ調べて、他は興味ない！って投げてるようなものだと思います。時間が許す限り、原因を突き止めていってあげたいと今は思います。

3．一つの症例からいくらでも学べる

これも救急ローテ中に上級医と一緒に症例を担当した際の言葉です。尿路感染で入院した患者に対して、輸液、抗生剤の選択・期間、この認知症の原因は、身体診察からCOPDっぽいけどどうするか？、この血尿はどうする？、この検査結果の解釈は？、リハビリは？どこに帰るのか？、この薬は前から飲んでるけど必要なの？、またこの病気にかからないようにするにはどうするべき？、なあなあにしてきた自分の適当さを洗い出されましたが、まさかこんなに一つの症例から考えさせられるのか、と身をもって感じました。担当医が誰になるかで、患者の今後の人生が変わりうると感じました。責任は本当に重大です。

4．自分の家族だと思って対応する

これは麻酔科の先生が、「自分の家族だったらどんな麻酔をしてほしいかを考えて麻酔をすること」と教えてくれました。正直手術をするだけなら術中にしっかり麻酔をかければ大丈夫なんですが、導入のスムーズさ、術後鎮痛をどうするか、術後の合併症をなるべく抑えるような管理、覚醒のときに苦しい時間を少なくするための工夫など、細部をこだわることは、術中以外のことまで視点を広げて麻酔をかけるということ、それはなるべく穏やかに周術期が過ぎていくことに繋がります。それは麻酔科学の奥深さであり、患者に対しての優しさなんだとわかりました。

この言葉は小児科の先生も言っていましたが、自分の子供を持つようになってわかるとも言われました。むむむ、、、

5．自分が健康でないと患者を健康にできない

これはちょくちょく色々な先生に言われましたが、大事なことだなと最近感じます。自分が健康でないと、めんどくさがってしまったり、自分も我慢してるわ！って思って患者にいらいらしたり、しいてはコメディカルの人たちにもイライラしたり、うまく物事が回って行かなかったくなってしまうなと思います。

「自分が幸せでなければ、人を幸せにできない」「まずは自分を救うこと」とJapanHeartの吉岡秀人先生も言っています。

小児科の先生の「自分が子供を持つようになってからわかる」というのも、自分が子供を持つようにならないと親の気持ちもわからないということなのでしょう。

最近思うことですが、自分が色々な経験をたくさんしていれば、患者さんにもいろいろな場面で共感したり、患者さんの立場になって考えることができるんじゃないかって思います。何でもやってみることはきっと良い医者になることに繋がっていくと信じています。

とりあえず思い出したものはこれくらいでしょうか。また思い出したり、新たに得たりしたら、忘れないように記録していく予定です。

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カンボジアにきて二日が経ちました。

毎日暑くて汗だらだら。患者はたくさんきて、普段見ない症例も多く、学ばなければならないことばかり。

すでに蚊にもたくさん刺されました。

毎日計画停電してるし、不便なこともたくさんですが、元気でやってます。